日が短くなりました。年の終わりを早くも感ぜざるをえません。今年一年振り返ってみると、丘のうえ工房ムジカさんとの出逢いとその制作を通じて、クリエイターとして充実ある時を過ごせたという実感をひとつ得ることができました。
「大衆文藝 ムジカ Vol.03」は無事完成を見ることができました! まだまだ制作面で課題は残すものの、確実な一歩を踏み出せたのではないかと感じます。
今号は、月乃光司特集を始め、その他、沢山の著名人からの寄稿もあり、ボリュームのある内容となっております。編集長の葛原氏、プロデュースの大須賀氏の言葉にできない尽力あってこその結実であります。読み応えのある月乃氏との対談記事は必読の価値あり。
スマートフォンなど、ツールが進化しているこの時代、個人の発信力が問われ、また容易に発信可能な環境が出来上がっています。FaceBookなどSNSを駆使すれば、誰でも何処でも自己発信ができます。しかしながら、雑誌というアナログ的手法で、情報を編纂し、大衆に向けて表現者の声を伝えるということは、いつの時代も困難を極めます。
「新しさ」をツールという「箱」でただ飾るのではなく、あえて既知の印刷メディアで打ち出してゆく。「箱」が「新しい」のではなく、発信する内容がどこか「新しい」。その意思が斬新さを示唆し、より良き未来への衒いのない渇望が編集に盛り込まれている。この生きにくい世の中で、そんな彼ら丘のうえ工房ムジカの制作姿勢に、プリミティブな逞しさを感じるのです。
願わくば、この先も、時代の創出の一端を共に担えればと切に望みます。
大衆文藝ムジカ Vol.03
丘のうえ工房ムジカ
定価926円+税